税理士の先生へ

1. 新規開業を検討中の先生へ

新規に開業する場合には、開業時のイニシャルコスト(事務所の保証金、設備費用など300万円以上)と毎月のランニングコスト(家賃や諸費用50万円以上)がかかります。1年目の支出総額は1,000万円程度は最低限必要と思われます。一方、安定した収入の確保(顧問先の確保)が不透明なことから開業を躊躇することが少なくありません。また、新規開業しても思うように収入の確保ができず、税理士事務所のコンサルタントの活用や収入増が期待できると謳う高額な商品などを購入している事例もあります。しかし、税理士事務所向けのコンサルタントや商品販売は、多額の費用を支払っても、税理士事務所が成功するか否かに関係なく売りつけたらそれでビジネスが完結します。不安にかられる税理士の弱みに付け込んだビジネスといえます。

そこで、国税ОBの先生や、現在、税理士事務所勤務の税理士で、新規開業を検討されている人に、インキュベーター(起業支援のための制度、仕組み、施設)として「成功報酬後払い方式」を提案しています。

具体的には、新規開業時の費用負担を軽減するために、1税理士法人ファミリィの事務所の机・コピー、プリンター、ファックス等設備を無料で利用でき、2不在時の電話対応、来客対応がしてもらえます。開業当初の個人の負担は、携帯電話、パソコン・税務ソフトの購入、事務用品や消耗品の購入など最小限の負担で済むようにしています。その後、安定した収入の確保の見込みが立った段階で、分離独立開業を行った後に在籍期間中の賃借料等を支払っていただく方式です。期間は最長3年間までとし、その後は、税理士法人ファミリィに在籍期間中も一定の賃借料等の支払い義務が生じます。なお、賃借料等の額やその他疑問に思うことについては、メールでお問い合わせください。

2. 個人事務所開業中の先生へ税理士法人へのお誘い

個人事務所経営の危うさ

税理士は一身専属の資格で、死亡した途端に、廃業を余儀なくされます。そのため、その事務所に勤務している税理士がいれば継続することができますが、いなければ即廃業となり大きな混乱が生じることになります。確定申告時期に死亡すると依頼者にも迷惑がかかります。顧問先は顧問税理士が高齢や病気の場合、それらのことについて不安がある不安視しています。事務所形態が税理士法人の場合、社員税理士が常駐し、その社員税理士が死亡した場合、社員税理士を補充するための猶予期間は6か月以内とされています。

情報発信の重要性(ホームページや研修会等)

  • 新規の見込先の紹介を受けた場合、その見込先は、ホームページでどのような事務所なのか確認することが一般化になっています。
    そのため、最新の情報などが満載の内容の充実したものでなければ信用を得ることはできません。
  • 相続のよう不特定多数の潜在的なお客様の場合、ホームページなどによる情報発信は欠かせません。
  • 同業他社、紹介窓口となる会社や営業社員にとって役立つ情報の発信は、事務所のイメージアップや高い評価を得ることにつながります。
  • 研修会やセミナーの講師などを務めたり、研修会等を開催することによる見込先の確保につながります。

相互研鑽

  • 一人の経験(事例)を全員の経験にすることができます。
  • 複数の眼で見ることで事実関係を正確に把握することにつながります。

デメリット

  • 税理士法による懲戒処分
    社員税理士等が懲戒処分に付された場合においても、税理士法人が自ら懲戒処分の対象とならない限り、懲戒処分の効力は税理士法人には及びません。しかし、税理士法人が懲戒処分を受けた場合に、社員税理士等が自ら懲戒処分を受けない限り、個人的に懲戒処分の責めを負うことはありませんが、例えば、税理士法人が解散処分を受けた場合、当該税理士法人の社員税理士あるいは補助税理士という立場を失うこととなりますし、業務停止処分を受けた場合、停止期間中は当該税理士法人としては税理士業務を行うことはできないこととなりますので、実質的に被る影響は大きいと言えます。そのため、税理士法の遵守が重要です。
  • 損害賠償請求への対応
    無限連帯責任体制については、内部契約によって原因事務所が全額負担することとし、損害額を全額負担ができない場合に限り、他の事務所が負担することとします。そのため、内部契約書でそのことを明確にしておきます。
  • 銀行借入等
    無限連帯責任なので、税理士法人では銀行借入等は行わないこととします。銀行借入等やリース取引は、それぞれの事務所の営利法人などを窓口にして行うこととします。

3.税理士法人の経営形態

完全経営分離型

基本姿勢 「来る者拒まず、去る者追わず」

税理士法遵守、その他各種法令遵守の誓約のみ。(税理士法人に所属する社員税理士全員の承認が必要なため、ご希望に添えない場合がありますので、その旨ご理解ください。)
完全分離型事務所の場合には、分かれるときも資産負債が分離されていて、職員や顧問先も移動していないため、分離は容易と思われます。
完全分離型の場合には、毎年生じる利益については、翌年中に給与等によって引出すこととします。

①共通する業務
  • 対外的な情報発信(HP、小冊子、書籍等)
  • グループ内研修(所長及び職員)
  • 福利厚生(懇親会・慰安旅行等。原則、自由参加とします。)
  • 各事務所の所得等の計算に基づき、合算して税務申告及び税負担等を精算
  • 税理士法人への損害賠償については、原因事務所が第一義的に負担し、負担しきれない金額は連帯責任とする
  • 新たに税理士法人へ参画を希望する事務所の入会についての審議(原則として全員一致の承諾を必要とする)
②個別の業務
  • 職員の採用、給与・待遇等
  • 事務所の設置、設備投資等
  • 各事務所ごとで所得計算し、損益も資産および負債も完全分離
  • 損害賠償等について全額負担

税理士法人の業務範囲は、商法上の会社とは異なり、税理士法で特別に設立が認められた特別法人であることから、税理士法が定めた業務範囲に限定されています。
そのため、保険代理店などの業務を行う場合には、別途各事務所が営利法人を設立し、その法人でそれらの業務を行うことを基本とします。

③分割による脱退

税理士法人の社員になろうとする者は、何らかの出資をすることが必要です。社員でない税理士は税理士法人に出資することはできません。
税理士法人から脱退しようとしても税理士法人を分割することはできません。税理士法において会社法の会社分割に関する規定は準用されておりません(税理士法第48 条の21)。また、税理士法人のモデルとされている合名会社も分割することはできません(会社法第757・762 条)。これは、無限責任社員の責任の承継が問題となるためです。よって、税理士法人の分割も認められていないと解釈できます。
そのため、内部留保を残さない方法が必要です。また、出資金は他の社員税理士が買い取ることとします。

経営一体型

経営一体型の形態を望まれるケースとしては、以下のような場合が想定されます。

  • 後継者不在事務所の事業承継対策として
  • 高齢の税理士先生の受け皿として
  • それ以外の理由(病気・経営不振)による廃業を検討している場合

受け皿となるのは、税理士法人ファミリィの各事務所から受け皿となることを希望する事務所から選択します。

原則、職員の雇用の継続、顧問先の不安を取り除き顧問契約が継続するよう互いに努力します。
事務所を譲る税理士は、税理士法人の補助税理士として勤務し、一定の給与を一定期間受けることを原則とします。